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タクシーへの転職を考えていると、「成功した」という話と「後悔した」という話が同じくらい聞こえてきます。
どちらも本当にあった話なので、聞けば聞くほど判断がつかなくなるところです。
結論から言うと、タクシー転職の成功は「入ってから最初の数年で稼ぎのピークを作れるか」と「自分の生活に合う勤務形態を選べるか」で大きく左右されます。
タクシーの給料は、長く勤めれば自然に上がる仕組みではないからです。
この記事では、全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)がまとめた令和7年の賃金データから、経験年数ごとの年収と、同じタクシー運転者の中での差の大きさを確認します。
そのうえで、未経験から入る人の実態と、若手・子育て世代・シニアという3つの成功パターンを公式資料で整理しました。
読み終えるころには、自分にとっての「成功」が何で、そのために入社前に何を確かめればいいかがはっきりしているはずです。
タクシー転職の成功は「最初の5年」と「賃金の幅」で考える
まず、タクシー運転者の年収が経験年数でどう変わるのかを見ます。
ここを知らないまま転職すると、「長く勤めれば上がるだろう」という前提で計画を立ててしまいます。
経験1〜4年の年間推計額418万円が経験年数別で最も高い
全タク連が令和8年5月にまとめた「令和7年賃金構造基本統計調査によるタクシー運転者の現況」に、経験年数別のグラフが載っています。
全国ハイヤー・タクシー連合会の資料のグラフ3。タクシー運転者の経験年数別の年間推計額と、全145職種の中での順位が示されている 出典: 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「令和7年賃金構造基本統計調査」によるタクシー運転者の現況(令和8年5月)
同資料のグラフ3によると、タクシー運転者の経験年数別の年間推計額と、全145職種の中での順位は次のとおりです。
- 経験0年:371万円(44位)
- 経験1〜4年:418万円(54位)
- 経験5〜9年:407万円(83位)
- 経験10〜14年:392万円(108位)
- 経験15年以上:347万円(139位)
経験年数別で最も高いのは、1〜4年の418万円です。
そこから先は、経験が長くなるほど金額も順位も下がっています。
同資料はこの理由を、「歩合給制度では、経験年数に応じて賃金が段階的に上昇する仕組みは一般的に取り入れられておらず」と説明しています。
勤続で昇給する年功賃金の職種と比べると、経験を重ねるほど相対的な順位が下がる、ということです。
なお、年間推計額は「6月分の月間給与×12+年間賞与」で計算された推計値です。
実際の年収とは違う場合があります。
ここから読み取れるのは、タクシーでは「入ってすぐの数年」が稼ぐ力を作る期間になるということです。
入社1年目で乗務に慣れ、2年目以降に自分なりの売上の作り方を固められるかどうかが、その後を決めます。
同じタクシー運転者でも上位と下位の差が大きい
もうひとつ知っておきたいのが、タクシー運転者の中での差の大きさです。
全国ハイヤー・タクシー連合会の資料のグラフ2。タクシー運転者の賃金を低い順に並べたときの各分位点が、全145職種の中で何位にあたるかが示されている 出典: 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「令和7年賃金構造基本統計調査」によるタクシー運転者の現況(令和8年5月)
同資料のグラフ2は、タクシー運転者の賃金を低い順に並べたときの位置ごとに、全145職種の中での順位を示したものです。
- 下位10%の位置:134位
- 下位25%の位置:116位
- 中央(真ん中):79位
- 上位25%の位置:69位
- 上位10%の位置:58位
さらに参考指標として、推定年収900万円以上の層の割合は145職種中49位とされています。
同資料の結論部分では、タクシー運転者の賃金は「下方・上方双方に幅広く広がる構造」で、平均値だけで評価するのは適当ではないとまとめられています。
つまり、「タクシーの平均年収」だけを見て成功か失敗かを判断することはできません。
下のほうにいる人もいれば、他の職種と比べて高い位置にいる人もいる。
その差をつくるのは、勤続年数ではなく、営業区域、勤務形態、そして本人の売上の作り方です。
現場メモ
「タクシーは稼げる」「稼げない」という話がどちらも出てくるのは、この幅の広さのためです。
話を聞くときは、その人がどの地域で、どの勤務形態で、何年目の話をしているのかをあわせて聞くと、自分に当てはまるかどうかが判断しやすくなります。
タクシー転職の成功例が多いのは未経験から入る人が大半だから
「成功した人は、もともと運転の仕事をしていた人ではないか」と思うかもしれません。
業界団体の説明を見ると、実態は逆です。
東京では新規採用者の約7割が未経験者、離職率は10%程度
東京ハイヤー・タクシー協会の「タクシードライバーの仕事紹介」のページには、採用の実態が書かれています。
東京ハイヤー・タクシー協会のタクシードライバーの仕事紹介ページ。新規採用者の約7割が未経験者で、離職率は10%程度と説明されている
同ページには、「タクシードライバーの新規採用者の約7割が未経験者で前職もさまざま」「働きやすく離職率は10%程度です」と書かれています。
あわせて、「タクシードライバーは正社員での雇用が一般的」とも説明されています。
なお、同ページに添えられた円グラフ(未経験者70%)には「都内A社の例」と注記があります。
業界全体の正確な比率を示す統計ではない点は、差し引いて読んでください。
全タク連のパンフレットにも、「未経験からはじめた方も7割以上!」と書かれています。
未経験者が大半を占めるということは、会社の側に未経験者を一から育てる前提の研修が用意されているということでもあります。
前職が運転と無関係でも、それだけで不利になる業界ではありません。
一方で、「未経験でも入れる」ことと「未経験でも稼げる」ことは別の話です。
入社から乗務を始めるまでにかかる時間と、その間の収入の確認方法は、タクシー運転手への転職で詳しくまとめています。
タクシー転職の成功パターンは3つある
全タク連は、若者向け・女性向け・高齢者向けに分けてパンフレットを出しています。
その中身と賃金データを重ねると、タクシー転職の成功パターンは大きく3つに分けられます。
若いうちに入って最初の数年で稼ぎのピークを作る
1つめは、20代・30代前半で入って、経験の浅いうちに収入の土台を作るパターンです。
全国ハイヤー・タクシー連合会の若者向けパンフレット。20〜24歳の業種別・経験年数別年間収入のグラフと、3つの勤務形態の説明が載っている
全タク連の若者向けパンフレットには、令和6年賃金構造基本統計調査をもとにした20〜24歳の年間収入のグラフがあります。
タクシー運転者は経験0年で313万円、経験1〜4年で392万円です。
同じグラフで、全産業は経験0年280万円、1〜4年332万円とされています。
勤務形態については、昼日勤・夜日勤・隔日勤務の3つがあり、いずれもシフト制で、休日は希望に合わせて設定できると説明されています。
隔日勤務については、「月の半分以上の日を自由な時間として使える」と書かれています。
若いうちに入る場合の成功のかたちは、最初の数年で売上の作り方を身につけ、同年代より高い水準で収入を安定させることです。
ただし、年齢が上がるにつれて全産業との差が逆転していく傾向も、同じ全タク連の資料に出ています。
その年齢別のデータはタクシー転職で後悔する理由で詳しく扱っています。
家庭の事情に合わせて勤務形態を選び、長く続ける
2つめは、子育てや介護など家庭の事情と両立しながら、勤務形態を選んで続けるパターンです。
このパターンを示す数字として、女性乗務員の人数が増えています。
全国ハイヤー・タクシー連合会の資料「女性乗務員数の推移」。令和8年は14,388人となっている
全タク連の「令和7年度の女性乗務員数の状況について」によると、令和8年3月31日現在の女性乗務員は14,388人です。
前年の13,078人から1,310人(10.0%)増えました。
乗務員全体に占める女性の割合は5.9%です。
令和5年の9,673人と比べると、3年間で4,715人増えています。
全タク連の女性向けパンフレットでは、次のような働き方が紹介されています。
- フルタイムで働きながら、育児期間中はパートタイム勤務へ切り替えができる
- 子どもの成長に合わせて、再びフルタイムに戻ることもできる
- 子どもの発熱など、予期せぬ事情による勤務変更にも対応している
東京ハイヤー・タクシー協会のページにも、「女性のための設備や託児施設がある会社も」と書かれています。
ただし、これらは「そういう会社がある」という説明です。
すべての会社で同じ制度が使えるわけではありません。
パートへの切り替えや勤務日の調整ができるかどうかは、応募先ごとに確認が必要です。
定年後の第二のキャリアとして選ぶ
3つめは、定年を迎えた後の仕事としてタクシーを選ぶパターンです。
全国ハイヤー・タクシー連合会の高齢者向けパンフレット。短い勤務やシフトの選び方と、65歳以上の同年代の平均年収の比較グラフが載っている
全タク連の高齢者向けパンフレットでは、「朝だけの勤務、週に3日だけのシフトなどもOK」と紹介されています。
また、「働いている方の約半数はシニア層世代」とも書かれています。
同じパンフレットのグラフ(令和6年賃金構造基本統計調査)では、平均年収はタクシードライバーが65〜69歳で373万円、70歳以上で342万円です。
製造業従事者はそれぞれ350万円、304万円とされています。
最新の令和7年のデータでも、傾向は同じです。
全タク連の「令和7年賃金構造基本統計調査によるタクシー運転者の現況」第3表では、年間推計額はタクシー運転者が65〜69歳で379万円、70歳以上で348万円、製造業はそれぞれ368万円、317万円です。
同資料は、他の産業では定年後の再雇用で賃金が下がるのに対し、タクシーは「年齢による賃金カーブが生じにくい歩合給の構造」のため、高齢になっても賃金が下がりにくいと説明しています。
定年前後の転職で成功しやすいのは、「前職の役職や年収を基準にしない」と決めて入る人です。
比べる相手を「定年後の再雇用」に置くと、タクシーの条件が現実的な選択肢として見えてきます。
タクシー転職を成功させるために入社前に確認すること
3つのパターンに共通して、入社前に確認しておきたい項目があります。
どれも求人票だけでは分かりにくく、面接や見学で聞く必要があるものです。
① 給与の内訳と保障給
歩合率、保障給の金額と期間、足切りの有無を数字で確認します。
最初の数年が稼ぐ力を作る期間になる以上、その間の最低ラインがいくらかは最優先で知っておくべき情報です。
歩合給と保障給の仕組みはタクシー運転手の給料で厚生労働省の基準をもとに整理しています。
② 勤務形態を途中で変えられるか
隔日勤務から日勤へ、フルタイムからパートへ、といった変更ができるかどうかです。
東京ハイヤー・タクシー協会のページには、交番表(勤務表)を作るときにドライバーの都合を聞いて出番を調整することも行われている、と書かれています。
自分の応募先でどこまで調整がきくのかは、具体的な例を挙げて聞いてください。
③ 営業区域と配属先の営業所
同じ会社でも、営業所によって客層と売上の作り方が違います。
東京の場合は営業区域によって運賃も違うため、東京のタクシー転職で区域の違いを確認してから選ぶと判断しやすくなります。
④ 研修期間中の給与と、二種免許の費用の扱い
未経験から入る場合、乗務を始めるまでの収入が生活を左右します。
二種免許の取得費用を会社が負担する場合は、一定期間内に辞めたときの返還条件も確認してください。
隔日勤務の拘束時間の上限や会社選びの全体の流れはタクシー転職の始め方に、どのルートで求人を探すかの比較はタクシードライバーへの転職ルート比較にまとめています。
これらの項目を1社ずつ自分で聞いて回るのは、手間がかかります。
転職の時期が決まっているなら、タクシー専門の転職サービスで条件を確認してもらうのも一つの方法です。
タクシー転職の成功についてよくある質問
未経験でもタクシー転職は成功しますか
未経験から入る人は多い業界です。
東京ハイヤー・タクシー協会のページでは新規採用者の約7割が未経験者と説明されており、全タク連のパンフレットにも「未経験からはじめた方も7割以上」と書かれています。
ただし、稼げるかどうかは入社後の売上の作り方と、営業区域・勤務形態の選び方で変わります。
タクシーは長く勤めるほど年収が上がりますか
全タク連の資料によると、経験年数別の年間推計額は1〜4年の418万円が最も高く、15年以上では347万円です。
同資料は、歩合給制度では経験年数に応じて賃金が段階的に上がる仕組みは一般的でないと説明しています。
長く勤めれば自然に上がる、という前提では考えないほうが確実です。
何歳までにタクシーに転職すると成功しやすいですか
一律の年齢はありません。
全タク連の資料では、若い年代ではタクシー運転者の年収が全産業より高く、35歳前後から逆転し、65歳以上では再び製造業などより高くなる傾向が示されています。
年齢別のくわしい比較はタクシー転職で後悔する理由で扱っています。
女性でもタクシー転職は成功しますか
全タク連の調査では、令和8年3月31日現在の女性乗務員は14,388人で、前年から10.0%増えています。
育児期間中のパートタイム勤務への切り替えや、託児施設を設けている会社もあると業界団体は説明しています。
制度の有無は会社ごとに違うため、応募先で確認してください。
隔日勤務に体がついていけるか不安です
隔日勤務は1回の勤務が長く、明けの日の過ごし方で体調が大きく変わります。
不規則な勤務が続くときの体の整え方は夜勤明けの過ごし方にまとめました。
日勤や夜日勤を選べる会社もあるため、勤務形態を選べるかどうかも応募先に確認してください。
まとめ:タクシー転職の成功は「最初の数年」と「働き方の選び方」で決まる
タクシー転職の成功を、公的な統計と業界団体の資料で確認してきました。
全タク連の資料では、経験年数別の年間推計額は1〜4年の418万円が最も高く、そこから下がっていきます。
賃金の幅も広く、上位10%は145職種中58位、推定年収900万円以上の層の割合は49位です。
勤続で自然に上がる仕事ではなく、入ってからの数年で稼ぐ力を作る仕事だと言えます。
成功のかたちは1つではありません。
若いうちに入って収入の土台を作る人、家庭に合わせて勤務形態を選んで続ける人、定年後の第二のキャリアにする人。
どのパターンでも、入社前に保障給、勤務形態の変更、営業区域、研修中の給与の4点を確認しておくことが、成功に近づく準備になります。
反対に、どういう条件で後悔が起きやすいのかはタクシー転職で後悔する理由に、転職全体の進め方はタクシー転職の始め方にまとめています。







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